翻訳と転回
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翻訳と転回 翻訳と転回

台日間の交流は文学をとおして、政治的統制を乗り越えた。1987年、戒厳令が解除される前後に、日本統治を乗り越えた作家たちは静かに作品をとおして断絶した時代の隙間を補った。翻訳は一つのやり方であった。1964年6月、『笠』の創刊号からすでに、日本の詩や詩論、詩史が翻訳紹介された。たとえば、陳千武は北園克衛の作品を翻訳し、恒夫(陳千武のペンネーム)と錦連は野村四郎の作品を共訳しており、呉瀛濤の『日本現代詩史』などの著作もそうであった。1970年代に日本で教鞭をとった詩人である葉笛や日本古典文学の研究者である林文月なども、日本の重要な作品を多く翻訳した。

1980年代に入ると、日本の学者は台湾文学を研究しはじめ、彼らの研究の視点は日本統治時期の「外地内地」といったものとは異なり、比較文学の視点から「外国文学」として、台湾文学を世界各国の文学と同様に独特で主体性のある文学と見なし、分析を行った。2010年、国立台湾文学館は「台湾文学外国語翻訳センター」を成立し、翻訳者と翻訳作品を育成・補助し、その中でも『巨流河』や『台湾新文学史』の日本語訳は近年の重要な成果の一つである。