引き上げ後の余韻
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•たていし てつおみ 提供 •たていし てつおみ 提供

多くの在台日本人は、戦後、相次いで日本に引き揚げて帰郷したが、その記憶をたどって台湾人とその土地に対する感情や、台湾で暮らした時の生活経験を書き記した優秀な作品がある。このコーナーでは日影丈吉「消えた家」や大鹿卓「野蛮人」、坂口䙥子「番婦ロポウの話」といった短編小説が展示されている。そのほかには、湖島克弘の長編小説『阿片試食官』と芹田騎郎の絵本『ユーカリの林で』などがある。日本の作家たちは終戦前、当時の軍国主義体制下における言論統制によって自由に書けなかったが、終戦後、国民主権の政治体制に変ったことによって、これまでの台湾の統治に対する反省も含め、いままでよりももっと様々な角度から台湾の原住民と漢民族を表現したり評価したりするようになったのである。